埼玉県の高校入試制度について~私立高校の場合

私立高校入試の概要

前回は公立学校の入試について説明しました。今回は私立の入試について説明していきます。

有名大学の付属校など一部の例外や細部に違いはありますが、おおよそ次のような制度になっています。

入試は大きく分けて推薦入試と一般入試に分けられます。※一般入試は行わない高校もあります。

ほとんどの生徒が受験するのが推薦入試になります。
推薦入試はさらに単願推薦と併願推薦に分けられます。

図にすると以下のようになります。

推薦入試

「推薦」となってはいますが、ほとんどの場合「自己推薦」です。事前に個別相談会に参加し、そこでの結果を基に志望するコースに出願します。※個別相談会については後述します。

一般入試

一般入試というのは事前に個別相談会を受けずに受験をするものです。(個別相談会を受けていても、推薦入試の日程で他校を受けて、一般入試を受ける場合もあります)一般的に推薦入試より難易度が高いです。

単願

単願というのは「合格した場合必ずその学校に入学する」事を約束した入試となります。このため、推薦入試の場合、併願よりも合格しやすくなっています。

併願

併願というのは「他校も受験する」場合の入試となります。多くの場合、公立高校を第一志望としている生徒が受験する入試になります。そのため、入学費用の納付を公立高校の合格発表まで猶予してもらえます。(一部入金を求められる場合もあります)

学校説明会と個別相談会

埼玉県の私立高校入試で特徴的なのが個別相談会の制度です。

学校説明会というのは学校の概要を説明するものです。同時に授業体験や部活体験が行われることもあります。

個別相談会は高校の担当者と保護者/生徒が個別に面談するというものです。
この際、通知表のコピーと模擬試験や校長会テストの成績表の提示を求められます。

模擬試験について

  • 埼玉県の場合、北辰テストが実質的に標準的な模擬試験になっています。
  • 北辰テストの成績は通常7月開催から12月開催分の成績が対象となります。
  • 都内から通学可能な地域の学校では、都内の高校向けの模試「Vもぎ」や「Wもぎ」で代用できるところもあります。

校長会テストについて

  • 校長会テストというのは地域の中学3年生に対して、同一問題で行われる実力テストです。
  • 地域によって名前が違っていたり、複数の市町村で合同で行われる場合もあります。
  • 例えば当塾のある上尾市では「南部校長会テスト」の名称で近隣の伊奈町、桶川市などと合同で行われています。

この個別相談会で、模擬試験や校長会テストで一定の成績(偏差値)をとっており、欠席日数や成績(主に1がないかどうか)が基準内であれば、「この成績なら、当校の○○コースで大丈夫ですよ」などと言われます。

以前は「確約」などと言われていましたが、指導が入り現在はこの言葉は使われなくなっています。

ただ、個別相談会で「大丈夫」と言われ、そのコースで推薦入試を受けた場合、余程のことがない限り落ちることはないと考えて良いかと思います。

※ある高校の説明会で「余程のこと」の例としてあげられたのが「入試で限りなく低い点数をとる」「受験をしなかった」等です。また「入試の帰り道、大騒ぎをして近所から高校に通報があった生徒が特定され、不合格」となった例があったそうです。

検定や課外活動の扱い

検定や部活や生徒会/委員会活動についての扱いも、公立高校に比べて明確に規定されていることが多くなっています。

多くの場合、推薦入試において、基準となる偏差値に+1、2点されます。

例えば、英検3級なら偏差値に+1、準2級なら+2というようにです。

これは学校によって異なっています。ただ、10点20点と追加されることはなく、多くの場合、複数の検定(英検3級と数検3級など)をとっていても、どちらか一方しか加点されません。

故にあまり過大な期待はしないほうがよいでしょう。

コースとスライド合格

多くの学校では学力別に複数のコースが設定されています。コースによって使用する教材や授業時間が異なっています。学校によっては特定の部活ができないコースもあります。
進級時にコースの変更が行われる場合もありますが、その数は多くはないようです。
多くの場合、願書提出時に希望するコースを書いて提出しますが、多くの学校でスライド合格制度があります。

スライド合格というのは

  • 入試の成績が良かった場合、出願したコースよりも上のコースの合格となったり
  • 出願したコースの合格点には満たなかったものの、下のコースに合格できたり

するというものです。

ですから、個別相談で希望のコースの基準に満たなくても、試験までの努力次第で合格することも可能だということです。

最後に

以上が私立高校の入試制度の概要となります。

具体的な成績の基準や細部の制度は学校ごとに異なっているので、当塾や各校に確認をするようにしてください。

特徴的なのが事前にある程度合否が分かる個別相談会の制度です。(このような制度を取っておらず、あくまで相談のみの学校もあります)

そのため、私は「試験になれる」「弱点をみつける」「学習のペースメーカーにする」といった理由の他に合格の確率を上げて、すべり止めを確実に決めると意味でも、北辰テストはできるだけ受けるように勧めています。

「このような制度は格差を助長して不公平だ」「一私企業が県全体の入試制度に影響を与えるのはおかしい」という意見もあります。

確かにそういう面もあります。しかし「普段コツコツやっているが、本番に弱い生徒が報われやすい」「すべり止めを確保することで、第一志望にチャレンジしやすくなる」というメリットもあるため、一概に否定できないと考えています。

いずれにせよ急に大きな変化は起きないと思われマス。ですから入試制度をしっかりと理解して、それに対する対策をコツコツと進めていくのが重要です。

御不明の点はお気軽にお問合せください。

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