暗記できないのは理解をしていないからです。
丸暗記と暗記は違います
こんにちは。上尾市の個別指導学習塾わかたけスクールの佐藤正治です。
あなたは「丸暗記」と「暗記」の違いをご存じですか?
広辞苑を見てみると「暗記」は「そらでおぼえること。そらおぼえ。」と書かれています。
一方、「丸暗記」は「本質の理解は抜きにして、そっくりそのまま暗記すること。」
と書かれています。
つまり、2つの違いは理解をしているかどうかと言うことです。
これまでの記事で、記憶するには内容を理解することが重要だということを説明してきました。
よく「暗記が苦手」という生徒がいますが、こういう生徒の多くは丸暗記をしようとしています。また同時に内容を理解することを面倒がる傾向もあります。
これでは覚えられないのも当然だと言えます。
これまで、記憶するにはきちんと理解する必要があるということを説明してきました。
今回は記憶の仕組みから、なぜ記憶するには内容を理解する必要があるのかを説明していきます。
記憶の三段階とは
記憶の三段階という言葉を聞いたことはありますか?
ものを覚えるということは記銘→保持→想起の3つの段階があるということです。
記銘
まず最初が記銘の段階です。
脳に入ってきた時点では、どんな情報もただの光や音などの強弱の刺激に過ぎません。これを意味のある内容に変換すること(符号化と言います)を記銘といいます。
例えば、人の名前を聞いたとき、脳に入ってきた時点では音の強弱や高低を聴覚神経が電気信号にすぎません。これを意味のある言葉に変換し、ある人物の名前だと認識することを記銘といいます。
保持
次に意味のある情報として認識した内容を必要に応じて、適当な場所に保存することを保持といいます。
想起
最後に保持していた内容から特定の内容を探し出すことを想起といいます。
例えば、以前出会った人と再度出会ったとき、その人の外見と結びついた名前を思い出すといったことです。
この3段階のすべてがきちんと機能して初めて物事を記憶したと言えるのです。
そして、初めに内容を理解しておくことが、それぞれの段階がきちんと機能することに役立つのです。
記銘段階で理解する意味
まず、記銘段階では正しく記憶する内容を認識する必要があります。
そもそも覚える内容が誤っていたりあやふやだったりしたのでは、記憶する意味がなくなります。
例えば、漢字を覚える際に字形を間違えて覚えたり、読みかたを間違えて覚えたのでは意味がありません。
しかし、部首を理解して覚えれば、既に記憶している部首と結びつけて覚えることができるので、字形の間違いをする可能性を減らせます。
同様にどのような音を表している部首があるのかを理解しておけば、読み方も既に記憶している部首の音と結びつけて覚えることができます。その部首の音と違っていたとしても、違っていることを意識しやすくなり、それも記憶違いをしにくくなることに繋がります。
保持段階で理解する意味
長期記憶と短期記憶
保持の説明のところで、「必要に応じて、適当な場所に保存すること」書きました。これは記憶にはいくつかの分類があるからです。
分類の1つは長期記憶か短期記憶化という事です。
短期記憶というのは長くても数時間程度の比較的短い時間しか保持しない記憶のことです。
例えば、電話で相手の電話番号を聞いて、それをメモするまでの記憶や別の部屋に用事を済ませにいく際に、その用事の内容を実際に始めるまで覚えておくといったことです。
一方、長期記憶というのは数時間以上、場合によっては一生保持しておく記憶のことです。通常、なにかを覚えるというときはその内容を長期記憶に保持することを意味しています。
長期記憶に移動させるにはどうしたらよいか
本来ならば、覚えたい内容はすべて長期記憶に保持させたいのですが、すべてが長期記憶に保持できるわけではありません。
脳の部位の1つである海馬が長期記憶するに値する内容かどうかを判別し、その眼鏡にかなった内容だけが長期記憶に保持されるのです。
では、どうしたら海馬に長期記憶に値すると思わせることができるのでしょうか。
海馬では「今後生きていく上に必要である重要な内容だ」と判断すれば長期記憶に保存しようとします。ですから、海馬にこの内容は「重要だ」と思わせれば良いわけです。
重要度を判別する基準の1つは回数です。何度も何度も繰り返しインプットされれば、これは重要な情報だと認識され、長期記憶に保持されるようになります。
ことわざの「門前の小僧習わぬ経を読む」というのがこのパターンですね。
もう一つの基準は印象の強さです。自己などの強烈な恐怖体験をした人はそのことを忘れることが出来ず、何かの拍子にその当時のことを鮮明に思い出し恐怖に襲われるというPTSDの話を聞いたことはないでしょうか。
これはあまりにも強烈な体験だったために記憶に深く刻み込まれてしまったということです。
逆にいえば、覚えようとする内容の印象が強くなれば長期記憶に保持されやすくなるのです。
印象を強くする方法の1つが、内容をきちんと理解することです。理解をするにはその内容に興味関心を持つ必要があります。人は印象的な事柄には興味関心を持ちます。
例えば、あなたが道ばたで見たこともないような珍しい美しい花を見たとします。もし通り過ごせないくらいに印象深い花であれば、興味を持って色々観察しようとしませんか?
逆に言えば、興味関心を持てば印象に残りやすくなるのです。
想起段階で理解する意味
想起しやすくするためには「取っ手」が必要
「失われた時を求めて」という有名な小説があります。その中で、紅茶に浸したマドレーヌを食べたとき、その味から幼少時代の記憶を明確に思い出すという描写があります。
あなたもある曲を聴くと特定の場面を思い出すと言うことはないでしょうか?
記憶を想起するには何かしらのきっかけが必要となります。保持された膨大な記憶の中から適切なものを想起するには、その内容を思い出すための目次や索引にあたるものが必要となるのです。
そのきっかけとなるものが多くなればなるほど、様々な事柄をきっかけに想起することができます。
つまり、記憶を引っ張り出すための取っ手がたくさんあればあるほど、一つ二つ取っ手が外れていたとしても他の取っ手を掴んで引っ張り出すことができるということです。
その取っ手を増やす為には記憶する内容を色々な事柄と結びつける必要があります。
既に記憶している内容と新しく覚える内容を関連付けていくということです。内容を関連付けるにはその内容を理解しなければ関連付けることができません。
そのため、内容を深く理解すればするほど、様々な既に記憶している内容と結びつけやすくなるため、想起しやすくなるのです。
より良い記憶にはより深い理解が必要
このように記憶の仕組みからしても、単に丸暗記するよりもきちんと内容を理解してから記憶することが重要だという事が分かるかと思います。
ぜひ、「よく分からないからとりあえず丸暗記」というのは止めて、最初に内容を理解するよう勉めるようにお子さんに教えてあげてください。
わかたけスクールでは、丸暗記に頼らない理解中心の学習指導をしております。興味がありましたらはこちらからお気軽にお問合せください。